NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol. 16 2023.9
619-0237
京都府相楽郡精華町光台2-2-5
日本ニューロン株式会社
けいはんなサウスラボ
『管路防災研究所』
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完成予想
災害時における伸縮継手の可能性
地震をはじめとする災害によって起こり得る管路の大変位も伸縮継手にとっての過酷環境と言え
よう。欧州に端を発し米国で設計法が発展したベローズは得てして温度伸縮などの小さな常用変
位に用途の主眼が置かれてきた。しかし我が国を含め、地震の頻発する諸国と地域にとって被災時
にライフラインの弱点となり得る伸縮継手の災害対策が焦眉であることは疑いようもないつまり
伸縮継手を含む管路系の防災技術の確立が喫緊の課題である。
当研究所では種々の被災シナリオに対し伸縮継手を含む管路にどのような安全性が確保される
べきか。そしてその安全性をどのように実現可能かについて研究を進めている特にベローズの性
能限界を明確化し、適切に破損抑止策を設けることで、災害時の大変位を吸収し管路機能を維持す
る新型継手の開発が期待される。
過酷環境での伸縮継手の用途と可能性
伸縮継手を取巻く過酷環
あらゆる管路に設置される伸縮継手は、ときに過酷な環境に晒さ
れることとなる。特にエネルギープラントや製鉄所などの大きな熱
量を輸送する管路では、伸縮継手にも摂氏数百度から千度以上の高
温環境に適合した性能が要求される。このような用途では伸縮部位
であるベローズを高温から保護するため、キャスタブル(メント状
の耐火物)を内面に打設した伸縮継手が使用されている。
また、管路を通過する流体が清澄であるとは限らない。例えば海
水に含まれる塩化物イオンはベローズの主要材質であるオーステナ
イト系ステンレス鋼の孔食を引き起こす恐れがある。このような場
合には、より耐食性に優れたスーパーステンレス鋼や高ニッケル合
金製のベローズを使用することで対策が可能である。さらに過酷な
腐食環境として燃焼ガスに含まれる硫酸や塩酸が管表面で結露する
ことで生じる露点腐食の対策には伸縮継手の内面PTFEを設け
ることで金属部分に直接流体が触れないようにする方法がある
管路系システムの
耐震・性能設計
防災
エンジニアリング
地震災害
過酷環境
気候変動
Resilient
伸縮可撓継手
終局限界性能
確認実験技術
環境条件 Core技術 管路防災技術
管路防災研究所 研究員 西 勇也
PTFE内装ベローズキャスタブル型伸縮継手
キャスタブル PTFE
金属ベローズ
NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol.15 2023.8
619-0237
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新著紹介「ライフラインの耐震設計法」
小池 武著
出版の動機
日常生活で自分の知らない知識を得るために、人は専門家
の説明を求める。しかし、専門的知識体系を一度説明を受
ただけで全てを理解できる人はそう多くはいないであろう。
良く分からなかった事項を本当に理解するには、その事項
を頭の中であれこれこね回し、得心のゆくまで反芻する努力
が必要である。この過程を踏んで納得した事項は自分の本
の知識となる。専門書を読んでその知識を自分のものにす
ためにはこの過程を経る必要があるが、多忙な社会人には
中々実践できないことである。
昨今のデジタル社会では、手軽に情報が入手できる環境が
整った分人間はじっくり頭の中で考えを巡らす習慣を失う懸
念がある。この書物は、頭の中で不明点をじっくりと考え、
咀嚼することを期待して執筆したものである。
書籍がめざすもの
本書では、ライフライン地震工学の発展過程について記述することで
術体系がて生、震にど
たのか、野の技術力が払わ
か、技術の現状と今後の課題についてまとめてい
とくに、従来の設計体系内で必ずしも十分に論議されてこなかった
継手の耐いて。さ
現できる安全性を議論するため有益な性能設計法について種々の事例
紹介している。
AI時代の書籍の意義
ITおよびAI技術がここ最近、急進展している。とくに、ChatGPTを筆頭とする生成AI技術は
来るべき産業革命を引き起こす新技術とも言われている。
これからの人間は、知的分野で人工知能と競合しなければならない時代を迎えているこの
時代に必要な能力は何か?それはAIの嘘を見破れる力、物事の真偽を見極める洞察力である
この洞察力は如何にして磨けるか?書物を読み頭脳を鍛えることでこの洞察力を涵養しなけ
ば、人間はAIを凌駕できないことを肝に銘じてこれからの社会を生きてもらいたい。
管路防災研究所シニアフェロー 小池
NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
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完成予想
終局限界状態の再現など、破壊事象が正しく再現できているかという点である 。たとえば1山ベロ
ズに弾塑性変形を伴う軸方向大変位を載荷したとき、ある範囲の伸び量を超えると頂部に管軸方向
の皺形成が生じる。それはどの程度小型要素実験で再現できるのか、それが座屈開始にどう影響
るのか。それらを再現できていないと、実大供試体と小型要素供試体では破壊挙動が異なっている
かもしれない。FEMモデルでは、細部をどこまでモデル化できるかによって、その度合いで破壊現
象の解析結果も変化するはずである。
FEM解析の活用方法
FEMモデルは何を再現できるのか?弾性状態あるいは弾性に近い領域での弾塑性状態まではFEM
モデルで再現可能であるが、崩壊過程に近い大規模塑性変形状態のFEMモデル化は難しい。FEM
験結よっした
がって、小型要素実験は、FEM解析の精度チェックに有用である。FEMモデルおよび解析精度が確
認できたとすると、たとえば積層構造体の極限状態挙動を予測したい時、FEMモデルが作成でき、
挙動の推測が能とな。そうすと、このデータを踏えて実際の確認実、モデル製作を具
体的に検討できることになる。このように、未知領域の素材開発のセンサーとしてFEMは役立つか
もしれない。
展望
今後は様々な極限状態における終局限界状態での継手挙動を把握できる実験能力を獲得すること
が求められる。そのためには小型要素実験と高いFEM解析技術との併用が必要である。経験を積み
崩壊過程に近い状態であっても実験的、解析的に精度良く再現できるよう、努力してゆきたい。
小型要素実験の意義は何か?
管路防災研究所 研究員 金丸 佑樹
小型要素実験の意義
実大実験ができる供試体の実験は、小型要素実験ではない。実大
実験そのものである。実大実験ができない供試体の場合はすべて小
型要素実験をせざるを得ない。比例的縮尺が可能な供試体は、縮尺
復元が容易であり、結果から実大供試体挙動を推測できる。一方、
比例的縮尺が困難な供試体の解釈は難しい。実サイズに復元する方
法が比例的でないと、実験結果が歪んでいることになる。
地盤内に設置する埋設型伸縮継手の地盤内挙動実験は、実大変位
挙動観察が難しい。しかし、模型地盤内での埋設型伸縮継手挙動を
観察することで、現象理解が進む。観察結果は、理論モデル、FEM
モデル作成に役立つが、地盤土粒子は縮尺できないので、地盤の縮
尺は比例的で無いことに注意を要する。地盤変状(液状化変位、断
層変位)は再現できないが、基本的な地盤変状はモデル化できる。
その中で継手挙動を観察できる実験は、小型要素実験でも有用であ
る。小型要素実験で重要なことは、たとえば、座屈現象、破断現象、
疲労破壊現象、大規模塑性変形状態の再現、修復限界状態の再現、
Vol. 14 2023.7
NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol. 13 2023.6
619-0237
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完成予想
大型実大実験装置の効用とは何か?
エンジニアリング本部 飯尾 哲志
営業技術本部 北村 亮太
大型実大実験装置とFEM解析技術の連携
構造設計において安全性照査は必要であるが、全ての設計で毎回実大実験による安全性照査を行
う必要は無い。代表的な大口径管路・継手系に対して実大実験とそれを模擬できるFEM解析技術が
確立できれば、その領域の大口径管路・継手の安全性照査は、FEM解析により未実験口径の結果を
補完することで実現可能となる。すなわち、大型実大実験装置とFEM解析技術を一体的に運用する
ことで、広範囲の管路・継手系の安全性照査が可能となる。
展望
管路防災研究所に設置した大変位耐震試験機(Purple Monster)により、大口径管路・継手系の終局
限界近傍での大変位挙動を観察することができる。それを精密に反映したFEMシミュレーション技
術を確立することで、大口径管路・継手分野でのより高性能な耐震技術開発に寄与してゆきたい。
大型実大実験装置の意義
実構造物の安全性は、実大構造物実験をしないと正しく検証でき
ないと主張する立場もある、ダムのように実大構造物サイズ
巨大であれば、最初から実大実験をしようとは考えない。
実大の意味は構造物の実大供試体寸法が試験装置に設置できる範
囲内での議論であることに注意しなければならない。
構造物は様々な寸法の部材で構成されているので、それを忠実に
縮小した実験供試体を作成することも容易なことではない。しかも、
縮小モデルで実際の大変位挙動を正確に再現できる保証はない。
たとえば、水道用大口径管路は、管厚口径比が1/100程度、さらに
伸縮可撓継手のベローズの管厚口径比はより小さくなるた縮小
モデルの作成が困難な部類に属する構造物と言える。
このような制約条件の中で、大口径管路・継手系の終局限界挙動
をできるだけ厳密に把握するには、実現可能な範囲での大型実大実
験装置が必要なことは言うまでもない。
NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol.12 2023.5
619-0237
京都府相楽郡精華町光台2-2-5
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完成予想
解析手法・FEMと実大実験の関係
管路防災研究所 シニアフェロー 小池
実大実験の効能
構造物の終局限界強度を確認するために、実大実験あるいは
その縮小モデル実験を行うことがある。この種の実験が必要な
理由は、①全く構造物の破壊性状が予測できない場合に実際の
破壊性状を確認するため、②FEM解析結果の妥当性を検証す
るため等である。
しかし、実験コストや日程的・労務的制約などで、実験ケー
スは限定されざるを得ず、僅少な実験結果から必要な特性値を
推定しなければならない。従って、事前にFEM解析などで実
験数を絞り込むことが重要である。
FEM解析の位置付け
構造物の弾塑性挙動を理論解析で追及するのは至難であり、今日ではFEM解析により弾塑性
領域あるいは終局限界状態近辺の性状を数値計算的に追跡することが行われる。しかし、実際
の破壊現象が想定した破壊メカニズムと異なる場合や実際の境界条件が設定モデルの境界条件
と異なることもあり、その結果の妥当性は実大実験などで検証せざるを得ない。
一方、設計技術者が実務設計を行う際に、様々の原因でFEMのモデル化や入力データで錯誤
を生じることがある。もし、実務設計者がFEM解析結果の間違いに気づかないと、往々にして
その設計に基づいて建設が行われることもあり得ることになる。従って、実務設計者FEM
析結果の間違いを見抜く設計者センスを磨くことが重要となる。
解析手法の役割
すべての設計実務において対象構造物の挙動をFEM解析に頼り切ると、その設計者は数値解
析結果と実大構造物の真の挙動との比較検証を蔑ろにする懸念が生じるとともに、構造物の弾
塑性挙動や終局破壊限界状態に対する推察力(センス)を鍛える機会を失うことになる。
弾塑性挙動を厳密に理論解析することが難しい場合でも、構造物を大胆にモデル化すること
で、構造物の概略的な弾塑性挙動を予測する解析手法を構築することは可能である。その種の
理論解析手法の構築は、構造物の弾塑性的特性の本質を知悉している研究者においてはじめて
可能と言える。構造技術者の設計技法向上のための弛まない研究開発努力に期待したい。
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耐震・性能設計
防災
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地震災害
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気候変動
Resilient
伸縮可撓継手
終局限界性能
確認実験技術
環境条件 Core技術 管路防災技術
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管路防災研究所
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Vol.11 2023.4
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完成予想
構造設計における安全性につい
管路防災研究所 シニアフェロー 小池
安全性とは
構造物に外部から荷重が作用する時、その構造物が破壊しな
いように設計するのが構造設計ですが、設計者はどのくらい安
全な設計を行ったか確認しなければなりません。設計指針では、
安全性照査式に基づいてその安全性を確認するようになってい
ます。
安全性の度合いを示す指標として、許容応力度設計法の時代
には安全率が用いられ、近年は信頼性設計法に基づく安全性指
破壊確率が提案されてきました。性能設計法が要請される
環境下で、信頼性設計手法の中で最も簡便な部分係数設計法
採用されましたが、この設計法で達成できる安全性水準が設計
者には必ずしも明確でないという問題点があります。
部分係数設計法の課題
信頼性設計法には、簡便な設計法から高度な解析処理を要する設計法まで少なくと3段階の
設計法があります。現行の設計指針は、最も簡便な信頼性設計法である部分係数設計法に基づ
いて定式化されています。
部分係数設計法では、照査すべきモードが指定されると、その限界状態に対する抵抗照査値
と荷重照査値の確率統計的不確定量部分係数で反映し、複数荷重連結による相互影響を特別
係数で評価することで、安全性照査が実現できます。Code writerはそれら係数値の予測誤差を
把握できているが一般の設計者には判りません。これでは設計実務者は自分の設計結果が保障
する安全性レベルを確認できないという不満が残るはずです。部分係数設計法にもう一段の改
良が望まれる点であります。
性能設計手法による構造物設計の実践
構造物設計で性能設計手法を適用しようとする時、設計実務者には参照すべき設計事例の存
在が不可欠です。部分係数の評価方法、確率統計的設計諸量の取り扱い方、安全性照査の具体
的な評価方法などについて具体的な計算事例があると、設計実務者も納得しながら各設計ス
テップを進めて行けると思われます。
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耐震・性能設計
防災
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気候変動
Resilient
伸縮可撓継手
終局限界性能
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管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol. 10 2023.3
619-0237
京都府相楽郡精華町光台2-2-5
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完成予想
新形状ベローズの着想
成形機の開発から半年ほど過ぎたころ社内である相談を受けた。曰く、短面間で大きな偏心を
吸収できるベローズが作れないかとのことであった従来、ベローズで大きな偏心を吸収するには
山数を増やすかベローズの間に直管部を設けることとなるがいずれも製品面間が長くなる。新設
管路の場合には十分なスペースが確保されていることも多いが既設のライフライン特に水道管路
においては、設置場所の制約からよりコンパクトな製品が求められていた。
新たなアイデアを考えるなかで、解決すべき課題としてベローズを大きく偏心させると山同士が
ぶつかることに思い当たった。通常のベローズは山の高さが均一であるが故に大きく変位させると
個々の山が干渉し合い全体の変形を阻害してしまうのである。その時思い起こしたのが山の不揃
いな失敗作の成形ベローズだった隣同士の山の高さが異なれば偏心時の干渉を軽減できる。この
ようにして高い山と低い山を交互に設けた新形状ベローズの着想に至った。
この新型継手はMCジョイント(Metal Corrugated Joint)と命名され、現在特許出願中である。当研究
所ではMCジョイントのさらなる改良のため実大実験を進めている。
研究員の経験談 ~成形機開発での失敗と新形状ベローズの着想~
ベローズ自動成形機の開
私がベローズの自動成形機を開発することとなったのは入社6
目の2019年。それまで製造設備の補修程度は行っていたが自動機を
丸ごと一台つくるのは初めてのことだった。開発にあたって資格を
伴う電気関係や専門性の高い油圧ポンプ周りは社外の協力を仰いだ
が、それ以外の設計製作は無謀にもすべて自身で行うこととした。
開発に要した1年間で機構検討から強度設計、部品の作図・選定、
油圧回路設計、制御プログラム作成、組立て、塗装、調整、試運転
まで一貫して携われたことは非常に良い経験になった
開発の序盤では詳細設計に相応の時間を費やしたものの、製作に
取り掛かると機械として形になるまでは難なく組み上がった。とこ
ろがやはり、にわか仕込みの素人仕事である。こと油圧機器に関し
ては意図した精度で作動せず、成形されたベローズの山形状は不
いで使い物にならない油圧バルブを追加し、金型を見直し、方々
手を尽くして漸く成形が安定したころには失敗作が山積みになっ
いた。
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耐震・性能設計
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気候変動
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成形ベローズ
管路防災研究所 研究員 西 勇也
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NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol.9 2023.2
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パイプラインの耐震設計法につい
管路防災研究所 シニアフェロー 小池
管路耐震設計法の特徴
慣性力の支配する地上と異なり、地中では地盤変位が強制力
となって構造物に作用します。応答変位法は地中構造物の地震
時挙動解析技法です。
埋設管の耐震設計では、地盤震動地盤は揺れるが弾性的)
地盤変状(断層変位、液状化変位、地滑りなどの地盤破壊)
の2形態について検討します。さらに、地中構造物と管路の接
合部では周辺土の不同沈下対応策も検討が必要です。
最近の耐震設計法
従来の耐震設計指針では、指針で用意された解析式を用いて
構造物の地震時挙動を算定し安全性照査を行いました。しかし、
近年のパソコン性能向上に合わせて、地盤と地中構造部を含むFEMモデルを用いて地震応答解
析を実施し安全性照査を行います。
問題は、設計技術者はFEM結果の妥当性を何で判断するかという点です。もし入力データや
FEMモデル化に間違いがあっても、結果の不適切さに気づかなければ、その設計結果が独り歩
きする危険性があります。現代の設計技術者にはFEM解析結果の妥当性を検できる力量が求
められていることを忘れてはなりません。
性能設計化時代の耐震設計法
我が国ではWTO(世界貿易機構)の条約批准以来、耐震設計法の安全性照査は性能設計手法
に基づいて行うように改訂されてきました。
性能設計法に従うと、安全性照査が信頼性理論に基づいて合理的に行え、さらに設計者の裁
量で設計の自由度を上げられる余地が増えると謳われていましたが、実際には性能設計化の進
展は捗々しくありませんでした。理由は、確率統計諸量の収集およびその取扱いの煩わしさ、
設計の自由度を実感しにくい点、さらに設計者自身が安全性照査で実現した安全性(もしくは
信頼性)を定量的に把握するのが難しいなどの項目です。
使いやすい新耐震設計法確立に向けて、官産学関係者の一層の努力を期待したいものです。
NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol.8 2023.1
視察説明会
昨年秋の「竣工披露会」はコロナ禍を鑑み、ご臨席者を京都府副知事、精華町長、大学教授や研究団体様等
の代表者に限らせていただきました。そのため本来お招きすべき顧客の皆様方へのご披露が叶いませんでし
たので、今後「視察説明会」を随時開催することで本施設の設備や取り組みをしっかりと御覧いただけるよ
うにいたします。ご希望の企業様、団体様は是非お問い合わせください。
2023年の当研究所の主な動向としてはこの「視察説明会」と「オープンセミナー」をスタートさせること
です。「視察説明会」は2時間コース、3時間コースなどをご用意しますが、本研究所近傍に位置する本社
工場における製管・成形・溶接現場の視察などを併せることも可能ですので、みなさまのご希望によりカス
タマイズさせていただきます。5Sを徹底した工場、若い現場スタッフ、そして世界屈指のベローズ成型機
群と、きっと皆さまにも少なからずやインパクトをお与えできるのでは⁉ と想っています。
オープンセミナー
初回「オープンセミナー」を今年春夏ごろに予定しております。
内容はずばり、「小池塾~特別版~」。ライフライン地震工学の専門家、当研究所シニアフェローの小池武
氏による水道技術関係者垂涎の、まさに管路防災に特化した若手研究員育成カリキュラムです。ありがたい
ことにすでにいくつかの団体様からも参加のご意向をいただいており、日程とプログラムが整い次第、ご連
絡させていただきますので、乞うご期待ください
セミナーの内容は水道管路の耐震設計を主眼に、「埋設管耐震設計法の基本的考え方」「水道管路の特性と
耐震化対策」などを予定しています。
2023年頭所感
日本ニューロン株式会社
管路防災研究所 代表 岩本 泰一
ごあいさつ
あけまして おめでとうございます。
旧年中はいろいろとお導きをいただき、ありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて2023年は当社創立50周年の大きな節目の年であり、そして
研究所「本格稼働元年」でもあります。
皆さまのお力添えを得ながら、管路防災に特化した我が国ライフ
ライン強靭化に大いに資する研究施設に昇華して参りたく存じま
すので、なにとぞよろしくお願い申し上げる次第です。
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耐震・性能設計
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地盤災害
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気候変動
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伸縮可撓継手
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確認実験技術
環境条件 Core技術 管路防災技術
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耐震・性能設計
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伸縮可撓継手
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管路防災研究所
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Vol. 7 2022.12
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完成予想
経験談
ベローズ型伸縮可撓継手は各種プラントの配管にお
いて、配管の熱伸縮や機器の振動、構造物間の不同沈
下などから配管系の損傷を防ぐために設置される。
日常設計業務の中で疑問に思ったことは、例えばベ
ローズが配管の熱伸縮+不同沈下や不同+地震
動など、供用期間内において頻度や速度の異なる複数
の変位モードが同時期に発生することを想定する必要
がある場合、従来の評価方法が適切かという点である。
ベローズが上記のように複数のモードの累積損傷を受けるケースに対して、既往設計規格で
ず変モード毎に設計上の繰り返し回数が設定される。そのうち、複数の変位モードが重なる繰り
返し回数分のみ応力が加算されその分を差し引いた残りの回数は各モード単独で応力を算出する
方法が取られてきた。
しかしながら、例えば不同沈下について考えると特殊なケースを除けば製品の供用期間中に一
度発生すれば元に戻らない一方向のみの変位であるそのため、不同沈下が配管敷設直後に初期変
位として生じており、その変形に加えて配管の熱伸縮や地震動等を受けるとき常に不同沈下によ
る変形状況下で変位することを強いられるしたがって本ケースでは従来の評価方法では極端に
いえば1[cycle]のみ重複変位にて評価すれば良いが、実際は伸縮可撓継手の供用期間を終えるまで常
に不同沈下の影響を受けると考えられることから必ずしも実際の状況と合致していない懸念があ
る。そこで、まず地下構造物近傍の埋設水道管路に設置される伸縮可撓継手であって不同沈下
況下に追加的に管軸方向の地震動を受けるケースを想定し対策を思案した
そして、同一伸縮可撓継手内において、不同沈下吸収専用のベローズと管軸方向伸縮
ローズに役割を完全に分けることによって、既往設計規格では評価できない、不同沈下発生による
管軸方向の変位性能の低下を防止できるのではないかと考えた。なお本案は、「不同沈下対策用伸
縮可撓継手ユニット」と名付け、特許出願している(出願No.2022-109394)。
実際の管路へ採用するにあたっては、実大実験の実施や関連規格との兼ね合いなど検討事項はあ
るが、伸縮可撓継手の1の損傷パターンについて、有効な対策を立案することができた。
まとめ
経験談を述べた。今後も管路防災研究所の研究員として、既往の設計規格や通例などに囚われず
様々な使用条件や環境に応じて適切な設計法を納得いくまで追求してゆきたい。
研究員の経験談 ~既往設計規格への疑問~
管路防災研究所 研究員 金丸 佑樹
はじめに
入社して11年がたち、現在発電所、製鉄所など民需プラント関連
のベローズ型伸縮可撓継手の設計及び、昨年11月より官需水道管路
に設置される新型耐震継手の開発に携わっている。本号では私が日
常設計業務の中で抱いた疑問から、新たな構造発想に至った経緯
紹介する。
ベローズ
竣工披露会 Photo
NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol..6 2022.11
管路防災研究所 竣工
日本ニューロン株式会社
管路防災研究所 代表 岩本 泰一
先週1111()1111分に竣工・神事が厳かに執り行われま
した。
披露会には京都府山下晃正副知事、精華町杉浦正省町長をはじ
大学等学術関係、上下水道分野や産業プラント分野などのご来賓、
ならびに建築ご協力企業の方々などご臨席を賜りました。
大変位耐震試験機「Purple Monster」始動のテープカット、そして
書道家 青柳美扇様のライブパフォーマンス、その後に施設内覧が
あり、第1実験場、第2実験場、ワークスペースやマルチスペー
スをご視察いただきました。
新施設紹介ダイジェスト4:40)を是非ご覧ください。
619-0237
京都府相楽郡精華町光台2-2-5
日本ニューロン株式会社
けいはんなサウスラボ
管路防災研究所
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完成予想
報道関係者各位
202210 31
日本ニューロン株式会社
国内初の管路に特化した研究施設に国内最大の大変位耐震試験機を設置
日本ニューロン新研究所「けいはんなサウスラボ管路防災研究所」竣工披露会のご案内
~ライフライン防災技術で国土強靭化へ導く研究の一大拠点に!~
日本ニューロン株式会社(京都府精華町、代表取締役 岩本泰一は、国内で初めて地震や洪水をは
じめとする自然災害や、過酷な環境条件に晒される管路の防災技術に特化した研究所として、
管路防災研究所を新たに建設、2022 11 11 (金)竣工披露会を執り行います。
地盤震動不同沈下断層変位液状化など、管路防災に特化した基幹研究施設に昇華させるべく、
各種プラント業界で 50 年にわたり培った伸縮可撓管の設計・開発・製造・評価技術をもとに、
水道業界においても関係者の皆様方と共に創成、完遂をめざします。
日本ニューロン株式会社「けいはんなサウスラボ 路防災研究所」竣工披露会
[日時] 2022 11 11 日(金)開式 15:00(受付 14:30~)
[会場]けいはんなサウスラボ 管路防災研究所(京都府相楽郡精華町光台二丁目 25
[プログラム] 1500 開会ご挨拶 日本ニューロン株式会社 代表取締役 岩本泰一
来賓者ご挨拶 京都府様、精華町様、他
1600 大変位耐震試験機デモンストレーション
1630 サウスラボ内覧会
1700 終了
14 同時配布:学研都市記者クラブ、京都経済記者クラブ
【竣工披露会概要】
日本水道鋼管協会、水道技術研究センターなど業界団体の幹部はもとより、京都府や精華町など
地元自治体関係者、阪大学、神戸大学、同志社大学、つくば研究学園都市/エネルギー加速器研
究機構の学術関係者のご出席賜ります。
尚、新研究所開設にあたり、イフライン地震工学の権威の小池武(元京都大学大学院教)が当社特
別顧問・シニアフェローに就任します。当研究所における研究開発の指揮をとるのと同時に若手研
究者の育成にも力を入れて参ります。 また後日、業界実務担当者やお取引会社様をご招待し、内覧
会(見学会、オープンハウス)を実施予定です。
【新研究所の概要】
名称:けいはんなサウスラボ 管路防災研究所
所在地:京都府相楽郡精華町光台二丁目 25
着工:2022 2 1
竣工:2022 11 11
【建物仕様】
敷地面積:8524.09 総床面積:1619.19
[1 階:ワークスペース] フリーアドレスデスクを採用。天井高さ 3.6M
上下左右可変の「ムーバブルオフィス」没頭集中&リラックスゾーンは研究員たちのアイデアか
ら実現、通称「ジャングルジム」は必見。
[2 階:マルチスペース] セミナー、ワークショップ、プロジェクト等、起こしたいシーンに合わせ
て” “がつくれる 空間 、レイアウトアレンジが可能なスペース
[SA-1 エリア] 世界屈指の実大試験機(大変位耐震試験機)他充実した試験機群が並ぶ
[SA-2 エリア] 大学との共同研究用エリアであり、埋設配管の実験用ピット装備
[その他] 太陽光発電システム、ドローンポート、最新 EV 充電スタンド
【所有設備】
■大変位耐震試験機
・試験体サイズ
MAXφ2600 ㎜xL6000
変位量
MAX】軸方向()1200 ㎜/軸直角方向()600
■その他試験設備
◎軸直角変位試験機
◎複合変位試験機
◎フレキ用大変形角度試験機
φ2700 ㎜ x L6300
【日本ニューロン株式会社 けいはんなサウスラボ管路防災研究所 竣工式 取材要領】
[日時] 2022 11 11 日(金)開式 15:00(受付 14:30~)
[会場] 「けいはんなサウスラボ 管路防災研究所(京都府相楽郡精華町光台丁目 25
・お車でご来場の際は、正面ゲートから入場いただき、建物東側駐車場にご駐車ください。
【本件のお問い合わせ先】
日本ニューロン株式会社 https://www.neuron.ne.jp/
広報担当: 総務部 橋本
京都府相楽郡精華町光台 3丁目 2番地 18
TEL0774-95-3900FAX0774-95-3905e-mailinfo@neuron.ne.jp
[広報協力](公財)関西文化学術研究都市推進機構 西村、佐竹
TEL: 0774-95-6132 FAX: 0774-95-5104 e-mail: syuzai@kri.or.jp
管路系システムの
耐震・性能設計
防災
エンジニアリング
地震災害
過酷環境
気候変動
Resilient
伸縮可撓継手
終局限界性能
確認実験技術
環境条件 Core技術 管路防災技術
NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol.5 2022.9
619-0237
京都府相楽郡精華町光台2-2-5
日本ニューロン株式会社
けいはんなサウスラボ
『管路防災研究所』
お問い合わせ先
info@neuron.ne.jp
完成予想図
ライフライン地震工学と私
管路防災研究所 シニアフェロー 小池
都市ライフラインの由来
UCLAのデューク教授がサンフェルナンド地震(1971)で道路、
鉄道、管路などインフラ施設の地震時被害が個別建物の被害と
は異なるとの認識から、これらインフラ系の地震時被害の重要
性を指摘しました。その後、人体の血管や神経系が生命活動を
維持するように都市活動を支えるインフラ系施設を(都市)ラ
イフラインという言葉で総称するようになり、そこから「ライ
フライン地震工学(Lifeline Earthquake Engineering)が生ま
れました。
当初のライフライン地震工学が目指した研究課題は、①管路
に沿って伝搬する地震波動のモデル化 ②管路の強震時挙動
解析法、③断層・液状化域横断管路の解析、④管路網の耐震安
全性解析などでした。当時筆者は米国留学中であり、②、④の
テーマに挑戦していたことを思い出します。
兵庫県南部地震(1995)以降の耐震検討課題
震災後、わが国の耐震設計法は大幅に改定され設計地震荷重がレベル1・レベル2地震動の2
段階方式になりました。レベル1地震動は弾性応答解析、レベル2震動は弾塑性応答解析に用
いられるものです。ライフライン分野では埋設管の耐震設計法として従来から応答変位法が採
用されていましたが、高圧ガス導管では弾塑性応答に対応するたすべり概念(管と周辺地
間に地震時すべり発生)を用いた耐震設計法が導入されました。余談ですが、この分野で筆者
は幾ばくかの貢献ができたと自負しています。さらに、地盤変状(液状化による大規模地盤変
位)に対する対策、病院などの救命ライフライン耐震対策、都市内複数ライフラインの地震時
相互連関解明など、種々の課題について研究開発が行われてきました。
最近では、管路・設備劣化の影響、管路システムの維持管理手法について検討が進むととも
に、断層を横断する管路の対策技術に進展が見られるようになりました。今後は、管路システ
ムの劣化状況・震災後状況把握にデジタル技術の活用が期待されます。
伸縮可撓継手の性能設計
新型伸縮可撓継手を開発するには、その開発目標が明確でなければなりません。管路システ
ムの機能性能(需要端への供給サービス維持)を満足する継手の設計目標値を設定するのに性
能設計法は有力な手法です。当研究所での今後の進展が楽しみです。
管路系システムの
耐震・性能設計
防災
エンジニアリング
地震災害
過酷環境
気候変動
Resilient
伸縮可撓継手
終局限界性能
確認実験技術
環境条件 Core技術 管路防災技術
NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol.4. 2022.7.
619-0237
京都府相楽郡精華町光台2-2-5
日本ニューロン株式会社
けいはんなサウスラボ
『管路防災研究所』
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完成予想図
・金丸 佑樹
35
・三重県出身
・同志社大学
機械システム工学科
・入社12年目
・業務:研究/設計
研究技術者の自己紹介
普段はプラント配管に設置されるベローズ
型伸縮可撓継手の設計を主業務としていま
す。そのほか、配管系に関わる様々な課題
へのソリューションを提供すべく、配管応
力解析や外部セミナーの講師、業界技術誌
の記事執筆などにも注力してまいりました。
現在、管路防災化を目標とした耐震継手開
発に勤しんでおり、その一環で特許戦略に
傾倒しています。
・西 勇也
28
・奈良県出身
・奈良高専
機械工学科
・入社9年目
・業務:研究開発
主に外部研究機関との共同研究に従事し、
FEM解析を用いた難加工材料の塑性加工技
術などの開発を行っています。また直近で
はチューブハイドロフォーミング用自動機
の設計から組立て、設備稼働まで一貫して
独力開発いたしました。これまでは機械工
学分野に携わってまいりましたが、ライフ
ライン地震工学を学び、管路防災に資する
製品とサービスの創出を目指します。
・西川 尚志
32
・兵庫県出身
・高知工科大学
環境理工学群
・入社1年目
・業務:研究/設計
8年半、家電製品の設計開発経験後、
日本ニューロン㈱に中途入社致しました。
入社後、主に独自技術の特許化を目指し
た業務に従事しています。特許申請案の
検討から検証設備設計、部材手配、実証
試験後の特許事務所応対までの全過程を
経験致しました。現在は、ハードな製品
IoT の観点から管路防災に繋がる新し
い事業を創成する為、日々奮闘中です。
管路系システムの
耐震・性能設計
防災
エンジニアリング
地震災害
過酷環境
気候変動
Resilient
伸縮可撓継手
終局限界性能
確認実験技術
環境条件 Core技術 管路防災技術
NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol. 3 2022.5
619-0237
京都府相楽郡精華町光台2-2-5
日本ニューロン株式会社
けいはんなサウスラボ
『管路防災研究所』
お問い合わせ先
info@neuron.ne.jp
完成予想図
企業の研究所に求められるもの
管路防災研究所 シニアフェロー 小池
研究所の役割
伸縮可撓継手のメーカーに何故管路防災研究所が必要なの
か、その目的意識が明確でなければならない。
従来製品の改良だけなら、現場経験から新しい解決策が見
つかる。研究開発が必要なのは、解決したい根本的な課題が
明確で、その解決に意欲を燃やす技術者がいる場合である。
企業研究所が大学と異なる利点は、隣接する現場で問題が
把握でき、問題解決の試行錯誤がやり易い点にある。
最終目標が新製品という形で具体化できその成果が客先
という最も手厳しい批評家に晒されていることで、実用に耐
える新製品が思いがけずに早く開発されることがある。
研究技術者に求められるもの
有能な研究技術者とはどのような人材か、そんな人材を如
何に育成するか。これは研究所の基本的課題である。
人は研究開発成功体験が累積することで、一人前の研究技術者に育ってゆく。 問題点を見つけ
開発目標に達するまでの道筋は自分一人で描かねばならない。すなわち、開発目標が明確化する
迄が大仕事で、その先は外部支援も得られ最終目標まで到達の道筋は見えてくる。
研究技術者は、何かに直面した時、自分流の独自のアプローチで徹底的に問題解決に食らいつ
き悪戦苦闘することができるタイプの人間が適任である。拘りを持ってしつこく問題点から目を
離さない性格の人は、最適な人材ではなかろうか。
思いがけないアイデアは、孤独な中で生まれるとは限らない。もしその研究技術者が常に頭の
片隅に課題探求心を持ちながら、仲間の研究者と議論したり自分の研究手法を他者に説明したり
する会話の瞬間に、ある素晴らしいアイデアが頭の中に宿って来ることがあり得る。
実験装置に拘った手法で研究するのではない。必要な実験装置はその都度自分で作るしかない
と思うことが大切である。
研究開発成果の形
開発成果の形はさまざまである。新製品、特許、技術論文など、その時々の業態に応じた形式
で開発成果を世の中に問うことができる。研究技術者が成果を挙げ続けるには、成果発表の瞬間
の醍醐味をまた味わいたいと思わせることであり、そのような人材が多く輩出できると、研究所
としての存在意義が世の中に認知されるようになる。
NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol..2 2022.3
動機
上下水道・ガス・エネルギー・通信・プラント配管などの都市ライフラインはいずれも管路ネットワークと
して地上・地下、3次元空間内を自在に張り巡らされています。その管路を円滑に機能させるために必須の
装置が伸縮可撓継手です。しかし、その設置場所は管路システム内の構造的に最も過酷な場所であり、災害
に対して最大限の注意が払われねばなりません。本研究所は、災害に強い管路システムの開発とくに耐震
性能に優れた伸縮可撓継手を開発する目的で設立したものです。
管路システムに最も厳しい自然災害は地震動・地盤変状ですが、昨今の候変動は想定を超える規模の災
害(水害・豪雨・地滑り・温度変化)を引き起こしており、今後長期に亘って設計上の対処を迫られること
になります。
研究所の実大実験装置により、災害を受けた管路システムが直ぐに復旧できる性能だけでなく、終局的な
安全性を確保できる性能に関する貴重な工学情報を発信します。
管路防災研究所の展望
日本ニューロン株式会社
管路防災研究所代表 岩本 泰一
目的
管路は都市インフラ施設や産業設備の活動を支える基盤システム
であり、都市機能を保持する生命線の役割を担っています。その
管路はあらゆる施設を連結することで都市システムや生産システ
ム全体が円滑に機能することを保証するものであり、高度な信頼
性が求められます。
本施設は、地震災害をはじめとする自然災害や過酷環境条件
に晒される管路システムの防災技術に特化した研究所として社会
に貢献できることを目指しています。
研究手法
当社が各種プラント業界で50年にわたり培ってきた伸縮可撓継手の設計・開発・製造・評価技術など
Core技術をもとに、 これを機に管路防災に資する製品とサービスのさらなる開発に努めます。
研究所の実験設備は、伸縮可撓継手はもとより様々な管路要素の破壊に至る終局限界性能を確認するため
の実験装置であり、終局限界状態設計に大いに資するものと考えています。
管路システム内の最も過酷な場所に設置される伸縮可撓継手を自然災害に強いResilientな継手に改変す
るため、耐震設計法を中核とする性能設計法を開発します。そして、これらの技術を総合化した防災エンジ
ニアリングとして、社会に役立てられることを願うものです。
管路防災研究所が目指すコンセプトをまとめたものが上図です。ご参考にしていただければ幸いです。
619-0237
京都府相楽郡精華町光台2-2-5
日本ニューロン株式会社
けいはんなサウスラボ
『管路防災研究所』
お問い合わせ先
info@neuron.ne.jp
完成予想図
管路系システムの
耐震・性能設計
防災
エンジニアリング
地盤災害
過酷環境
気候変動
Resilient
伸縮可撓継手
終局限界性能
確認実験技術
環境条件 Core技術 管路防災技術
NEWS LETTER
管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
Vol.01 2022.01 創刊号
619-0237
京都府相楽郡精華町光台2-2-5
日本ニューロン株式会社
けいはんなサウスラボ
『管路防災研究所』
お問い合わせ先
総務部 IT-MEDIA Gr.
info@neuron.ne.jp
当社がさまざまなプラント業界で50年にわたり培ってきた伸縮可撓継手の設計・開発・製造・評価技術をもとに、
これを機に管路防災に資する製品とサービスのさらなる開発と普及に鋭意邁進する所存です。
尚、本研究所開設にあたっては、ライフライン地震工学の専門家である小池 (元京都大学大学院教授)
シニアフェローとしてご就任いただき、管路防災技術指導と研究技術者の人材育成にご尽力戴くことになりました。
このNEWS LETTERは年に数回のご案内を予定しております。
皆様方には、なにとぞよろしくお導きのほど、かさねてお願い申し上げます。
日本ニューロン株式会社
代表取締役 岩本 泰一
ごあいさつ
皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
また平素は格別のご高配を賜り誠に有難く、厚く御礼を申し上げます。
さてこのたび、管路防災研究所を開設するにあたり、当施設の取り組みや研究員たちの
活動内容をNEWS LETTERというかたちでお知らせすることといたしました。つきましては
日頃からたいへんお世話になっている皆様方にその「創刊号」をお届けし、ひとことご挨拶
を申し上げます。
当社は関西文化学術研究都市(京都府精華町)に本社を構えて15年目となる今年、新施設
『管路防災研究所』 を開設いたします。
登録名称は、日本ニューロン株式会社 けいはんなサウスラボ 『管路防災研究所』 です。
英語 NEURON Pipeline Resilience Laboratory
本年2月に着工、同10月に竣工を予定しています。
本施設は、地震災害をはじめとする自然災害や過酷な環境条件に晒される管路の防災技術に
特化した研究所に昇華させるべく、関係者の皆様方と共に尽力いたす所存です。
管路は都市インフラ施設や産業施設の活動を支える基盤システムであり、とくに地上・地下、
3次元空間内を自在に展開しています。その管路を円滑に機能させるために必須の装置が伸
縮可撓継手です。しかしその設置場所は、管路システム内で構造的に最も過酷な場所である
ため、災害に対しては最大限の注意が払われなければなりません。本研究所は、災害に強い
管路システムの開発、とくに耐震性能に優れた伸縮可撓継手を開発する目的で設立致しまし
た。
完成予想図
シニアフェロ
小池
代表
日本ニューロン株式会
社代表取締役 岩本