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管路防災研究所
NEURON Pipeline Resilience Laboratory
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京都府相楽郡精華町光台2-2-5
日本ニューロン株式会社
けいはんなサウスラボ
『管路防災研究所』
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完成予想図
終局限界状態の再現など、破壊事象が正しく再現できているかという点である 。たとえば1山ベロー
ズに弾塑性変形を伴う軸方向大変位を載荷したとき、ある範囲の伸び量を超えると頂部に管軸方向
の皺形成が生じる。それはどの程度小型要素実験で再現できるのか、それが座屈開始にどう影響す
るのか。それらを再現できていないと、実大供試体と小型要素供試体では破壊挙動が異なっている
かもしれない。FEMモデルでは、細部をどこまでモデル化できるかによって、その度合いで破壊現
象の解析結果も変化するはずである。
FEM解析の活用方法
FEMモデルは何を再現できるのか?弾性状態あるいは弾性に近い領域での弾塑性状態まではFEM
モデルで再現可能であるが、崩壊過程に近い大規模塑性変形状態のFEMモデル化は難しい。FEM解
析結果の妥当性は、実大供試体の実験結果を正しく再現できているかによって判断できる。した
がって、小型要素実験は、FEM解析の精度チェックに有用である。FEMモデルおよび解析精度が確
認できたとすると、たとえば積層構造体の極限状態挙動を予測したい時、FEMモデルが作成でき、
挙動の推測が可能となる。そうすると、このデータを踏まえて実際の確認実験や、モデル製作を具
体的に検討できることになる。このように、未知領域の素材開発のセンサーとしてFEMは役立つか
もしれない。
展望
今後は様々な極限状態における終局限界状態での継手挙動を把握できる実験能力を獲得すること
が求められる。そのためには小型要素実験と高いFEM解析技術との併用が必要である。経験を積み、
崩壊過程に近い状態であっても実験的、解析的に精度良く再現できるよう、努力してゆきたい。
小型要素実験の意義は何か?
管路防災研究所 研究員 金丸 佑樹
小型要素実験の意義
実大実験ができる供試体の実験は、小型要素実験ではない。実大
実験そのものである。実大実験ができない供試体の場合はすべて小
型要素実験をせざるを得ない。比例的縮尺が可能な供試体は、縮尺
復元が容易であり、結果から実大供試体挙動を推測できる。一方、
比例的縮尺が困難な供試体の解釈は難しい。実サイズに復元する方
法が比例的でないと、実験結果が歪んでいることになる。
地盤内に設置する埋設型伸縮継手の地盤内挙動実験は、実大変位
挙動観察が難しい。しかし、模型地盤内での埋設型伸縮継手挙動を
観察することで、現象理解が進む。観察結果は、理論モデル、FEM
モデル作成に役立つが、地盤土粒子は縮尺できないので、地盤の縮
尺は比例的で無いことに注意を要する。地盤変状(液状化変位、断
層変位)は再現できないが、基本的な地盤変状はモデル化できる。
その中で継手挙動を観察できる実験は、小型要素実験でも有用であ
る。小型要素実験で重要なことは、たとえば、座屈現象、破断現象、
疲労破壊現象、大規模塑性変形状態の再現、修復限界状態の再現、
Vol. 14 2023.7